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おしゃかさまの死 |
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二月十五日は涅槃会。お釈迦様がお亡くなりになられた日であると信じられています。お釈迦様の最後の旅の様子を説いた経典「だいはつ大般ねはんきょう涅槃経」によれば、八十才になられたお釈迦様は王舎城の霊鷲山から北へ向かって旅を始めます。老齢のお釈迦様はアヌルッダ長老、身の回りのお世話をしていたアーナンダなど極少数の弟子達に支えられながらの旅であります。
お釈迦様一行がベールヴァ村に着いたとき、お釈迦様の身に恐ろしい病が生じたと伝えられます。しかしお釈迦様は心を落ち着け、多くの弟子達に別れを告げずに死ぬわけにはいかないと思念し、ひたすら病苦を忍んでおられたそうであります。すると次第に病は快方に向かい、お釈迦様は健康を取り戻しました。侍者アーナンダは嬉々としてお釈迦様に申し上げます。
「最近私の体は固く強張り方角も定まらぬほど呆然自失しておりました。これはお師匠様の病を案じるが故でありました。しかしお師匠様が健康を回復されて、弟子たちをすべて迷いのない境地に導くまではお釈迦様は亡くなることは無いであろうと私は確信致しました。」
これに対しお釈迦様はおっしゃいました。
「君は私にこのうえ何を期待するのか?私の教えに秘法などは無い。私はすでに老い、君たちに支えられながらやっと旅を続けているのだ。
君たち修行僧は心をよく観察し、よく諸々の事象を観察し、よく世間における貪欲と憂いとを除くべきである。修行僧は自らを灯火とし自らをたよりとして、教えを灯火とし教えをよりどころとしてしるならば、修行僧として最高の境地にあるであろう。」
このお言葉の数日後お釈迦様は自分自身の余命は三ヵ月であることを宣言しさらに修行の旅を続けたのでした。
三ヵ月後、多くの弟子や信者に看取られながら逝ったお釈迦様の最期の言葉は、「精進しなさい。」という一言であったと伝えられます。 |
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