仏教のふるさとインドでは朝の挨拶も昼の挨拶も夜の挨拶もすべて「ナマステー」です。この時に必ず互いに合掌をしながら「ナマステー」とご挨拶!私たち僧侶は日本にいてもいつも合掌で挨拶していますから、何の違和感もないのですが、初めてインド旅行をした方などは、ずいぶん拝まれる国だね!なんて驚く方もいるようです。
ナマステーという言葉は「ナマス」という言葉と「テー」という言葉に分けられます。「テー」は「あなたを」という意味。「ナマス」は「尊敬します。」という意味だそうで、我々が南無釈迦如来とか南無阿弥陀仏という時の「南無」は「ナマス」と語源が一緒なのだとか・・・。やはり有り難い挨拶ですね。それでは合掌の意味はというと、インドの生活習慣に関係があるのです。ご存知の通りインドの方は手でものを食べます。「ええっ!行儀悪いな!」と思われる方もおられるかもしれませんが、これにもちゃんと作法があります。先ず一番大切なことは、手づかみで食物に触れるのは右手だけ!スプーンなどは別として、直接左手で食べ物に触れることはありません。
それじゃぁ。左手の役割は?ご存知の方もあろうかと存じますが、これは食べることに伴って起きる生理的現象の際に使います。インドの農村部にはトイレがない場合が多く、一般の民衆は川べりなどで用を足します。この際にトイレットペーパーなどを使うことはありません。川の水を汲むための容器を持参し、左手で水をパシャパシャ!というのが通常です。中には用を足してから、川にザブン!という若者も・・・。尾篭な話しで恐縮ですが、これには右手は神の心が宿る清浄なる手、左手は我々の貧しい心が宿る不浄の手と考えるヒンズー教の教えが背景にあるようです。このようにきれいとか汚い、善悪長短を超越した悟りの世界を表したのが合掌であります。
当園での挨拶も合掌を支えつつ行っていますが、幼稚園の場合は、お互いを大切にする心を学び、楽しい園生活を送るためにこれを行っているのです。
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