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おさなご 1月号 平成22年2月更新

涅槃会〜お釈迦様の死

 
 2月15日は涅槃会。お釈迦さまがお亡くなりになられた日であると日本の仏教では信じられています。お釈迦様は29歳で修行者となられ、35歳でお悟りを開き、45年の説法の後、80歳でその生涯を閉じられます。お釈迦様の最期の様子を伝える大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)は、どんなに修行をした宗教者でも、その肉体というものには限りが有るという事が大きなテーマとなっています。

 お釈迦様は80歳のある日、マガダ国の霊鷲山(りょうじゅせん)にから、北へ向かって旅に出ます。常にお釈迦様の身の回りのお世話をしていたアーナンダ尊者を始め、数人の弟子がこれに附き従ったそうです。往く先々で法を説くお釈迦様ですが、老齢による体力の衰えは如何ともし難く、「腰が痛い」「横になりたい」と仰いながら、やっとの思いで旅をされたようです。弟子の助けを借りながら歩まれる様子を、お釈迦様自らが「壊れかけた台車が革紐の助けによって、バラバラにならずに何とか進むように、私の身体も弟子の助けによって、何とか歩いている。」と仰っています。

 このように体調が優れないお釈迦さまでしたが、金属を加工する職業についていたというチュンダという青年が施したキノコの料理を食し、大変な病に陥ります。この時、お釈迦様は多くの料理の中から、このキノコ料理をだけを選び召し上がります。そして奇妙なことに、「この料理は素晴らしいもので悟りを成就した者でなければ、消化しえない。」と仰い、食事が済むとその料理を土に埋めさせてしまったのです。この食事の後、お釈迦様は現在で言う赤痢のような病を発症していますので、キノコ料理に何かしらの原因があり、これを口にしたお釈迦様はチュンダの供養の心に気遣い、前述の言葉の下に埋めさせたのだと思われます。この病はお釈迦様を大変苦しめたようですが、お釈迦様はチュンダを思い「チュンダは私にとって最後の食事を供養してくれたのだから、皆に褒められるべきである。誰もチュンダを責めてはならない。」と仰います。

 先ほど、この経典は修行を完成した者でも諸行無常の摂理から逃れる事が出来ないということが、テーマになっていると申し上げましたが、もう一つの大きなテーマは言うまでも無くお釈迦様の慈悲の精神であります。死に臨むという人生の究極の場にあって、他者を思いやり苦しむ人を救わんとするお釈迦様のお姿に、我々は人の有るべき姿を学ぶことが出来るのです。

 涅槃会参観日ではお釈迦様の死の様子を画いた涅槃図にお参りして頂きます。天界の神々から、小動物に至るまでの多くの生きものが、お釈迦様の死を悲しみ集う様子から、子供達がお釈迦様の偉大さと命の尊さを知る機会になればこれに勝る喜びはありません。
園長 千坂成也
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