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おさなご 6月号 平成23年7月更新

雨が降ったら雨が降ったなりに

 

 東園寺の本山は京都花園妙心寺。妙心寺は九十五代の天皇である花園法皇の勅命により、関山慧玄禅師(かんざんえげんぜんじ)を開山として建立された寺です。

 関山慧玄禅師はとても質素な人で部屋には余分な物は何一つ無く、袈裟を留める環(かん)と呼ばれる道具は藤のつるを編んで使用していたそうです。因みに環は漆で装飾されたものや、象牙等で造られたものが多いようです。関山禅師はこのような高級な素材とは無縁の生活を送った人なのでしょう。

 妙心寺に居られた頃の関山禅師は、弟子達の指導に余念が無く、禅問答の為に禅師の居室に入る弟子達は戦々恐々としていたようです。

 ある時、弟子達は雨の中を一所懸命に茶摘みの作務(さむ)をしていました。作務とは労働作業の事で、禅宗寺院では経文を読んだり、坐禅をしたりという修行と同等、いやある時はそれ以上に重視される修行です。雨の中、茶摘みをする修行僧に接し、関山禅師はこっぴどくこれを叱りつけます。「修行者を雨にあたらせて何とする!そんなに茶摘みがしたいのなら、枝を切って部屋の中で茶摘みをしなさい。」と。

 雨中に一所懸命作務をしている修行僧。褒めてあげても良いようなものなのに、大目玉!関山禅師が激怒されたのは、雨が降ったなら、雨が降ったなりの作務がある筈ではないか!禅僧たるもの臨機応変、自由闊達を宗とせよ!という教えに基づくものです。

 私達の人生はまさに修行!晴れの日もあれば雨の日もあります。しかし、縁に随い心だけは前向きに行きたいものです。震災で生活が一変してしまった方も少なく無いでしょうが、子供の笑顔を親自身の宝として日々精進致しましょう。

 

園長 千坂成也
 
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