保護者各位におかれましては、お子様方のご入園、ご進級に喜び多い春をお迎えの事と存じます。
今年は季節の進みが遅いようで、境内の梅等は開花が一カ月以上も遅れています。東北の人間にとって厳寒の冬を経て至る春は格別の季節、早く春らしい日和になって欲しいものです。
さて、東園寺が属する臨済宗など禅宗で用いる言葉、いわゆる禅語では、春という文字を用いて悟りの心境を表す例が少なくありません。
「石上に花を栽えてより後、生涯共に是れ春」
「石の上に花を栽える」おかしな事を禅宗では言うものです。花は耕された土に植えるもの!なんで好き好んで石の上に!それが此の言葉のミソです。
世の中は、あれこれと効率や合理性を考え、一円一銭でも無駄を省き利潤を上げる為に右往左往しています。この努力は大変なものではありますが、一点の方向だけを考え、それに邁進していると、時には手段が目的化してしまったり、ものの正鵠がぶれてしまったりするものです。
「石上に花を栽培」とは合理性とはまったく正反対の世界で、非合理とも思える事柄を一所懸命に行じること。「生涯の春」は即ち一生涯に亘る安楽という意味です。
幼稚園の本分はまさに「石上に花を栽える」であろうかと思います。園児の皆さんがどんな事にも一所懸命取り組める時間と空間を提供し、幸福な人生の基礎となる心の豊かさが得られる事を念願に保育を行う所存でございます。何卒、本年の活動に対し、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
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