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布施行(ふせぎょう) |
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現在もそうですが、宗教施設や駅等にはいつもは物乞いをする人が溢れています。宗教施設には、施しをすることを美徳と考えるインド人がおいでになりますし、駅にはインドの中でも旅を出来る富裕層が集まるというのがその理由なのでしょう。
ある駅から寝台列車の発車を待っていた時のこと、一人の日本人旅行者が物乞いの小さな子供に一つのみかんをあげました。もちろん良かれと思い施しをしたのですが、残念なことに、その一番小さい子供が手にしたみかんに向けて、そこにいた子供達が襲い掛かります。すると、ひと際大きな少年がその混乱に飛び込み、力尽くで、そのみかんを奪い取ったではありませんか…。少年時代は自らもひもじい経験をされた世代である旅行者は自らが行った事の後悔と自責の念で意気消沈されていたそうです。しかし、その次の瞬間、父達の眼の前で信じがたい事が起きました。なんと、その大きな少年は、子供達を小さな順番に並ばせ、子供達の口に一房づつみかんを入れてあげたのです。そしてみかんを分け与えると、みかんの皮を空にポーンと投げて、唖然とする日本達にニッコリ笑い、その場から立ち去ったとのこと。ついに少年の口には一房のみかんも入りませんでした。
父達は仏教が衰退したと言われるインドで生き仏にあった心境で、その少年に手を合わせたと言います。
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