「人が生まれたときには、実に口の中には斧が生じている。」(スッタニパータ) この言葉はお釈迦様が実際に説かれた言葉を数多く伝える、スッタニパータという仏教最初期の経典に見られるものです。お経は全部お釈迦様が説かれたことでは?と思われる方もおいでかもしれませんが、経典はお釈迦様の死後に弟子達により編纂されたものであり、日本で読まれる大乗経典ともなれば、お釈迦様の実際の言葉を直に伝えるものではありません。しかし、言葉を超えた心を伝えるものであると私達は信じています。
さて、お釈迦様のお言葉は私達の実生活に即した日々の戒めとなるものが多いのですが、今回ご紹介申し上げた「人が生まれたときには、実に口の中には斧が生じている。」実に言い得て妙なるものがあります。斧は日常生活の大切な道具。しかし、それの扱いを間違うと自他ともに傷つける恐ろしい凶器となります。私が言い得て妙と申し上げたのは、実にここにあります。言葉は言うまでも無く自分の気持ちを伝える上の大切な道具です。しかし、斧と同様、使い方を間違えれば他人はもちろん自分自身を傷つける凶器となります。 塩釜中央幼稚園の子供達はとても優しい言葉を使えます。これはご家庭での、躾はもとより、幼稚園という子供達の社会で乱暴な言葉を使うことが恥ずかしいと学ぶからであると思います。しかし、この優しい言葉という宝物、なかなか維持管理が難しいものです。卒園して小学校に進級したら言葉が乱暴になった、なんてことを耳にしますが、せめてご家庭では子供達の言葉に充分に気を配って頂きたいものです。
末筆となりますが、本学期中のご協力に心より御礼申し上げます。時節柄、お子様のご健康には充分のご留意頂くと共に、ご家族各位におかれましても、ご尊体ご自愛の程、お願い申し上げます。
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