少し前の事ですが、震災後にボランティア活動の連絡網の一助としてフェイスブックを始めたばかりの頃、私が何の気なしに妻が作ったタンドリーチキン風の料理の画像をアップしたところ、30代前半のフェイスブック上の友人から「お坊さんは肉を食べて良いのですか?」という真面目な質問を受けました。生身の私をご覧になった方ならば、ベジタリアンで無いことは一目瞭然!なのですが、私にとってこの質問はとても新鮮なものでして、「何を食べないというのが精進料理ではなくて、食べて何をするかで精進か否かが判断されるのではないでしょうか。」と返答し納得して頂きました。
昔のお坊さんは確かに完全な菜食主義者という方が多かったようです。もっとも昔は日本そのものが限られた範囲の動物しか食さなかったわけでありますが、一般にこれは仏教の影響だと言われています。それではお釈迦様はどうだったかというと、意外なことにお釈迦様は完全な菜食主義者ではありませんでした。托鉢で生きた初期仏教の僧侶は信者の家で作られたものを頂くのが基本であり、僧侶の為に特別な料理を作らせるのはお釈迦様の是とするところではなかったのでしょう。
お釈迦様は肉を食すにあたり、「3種浄肉」(自分が殺していない。自分の為に殺されていない。殺された様子を見ていない。)という条件を備えた肉は食べて良いとしています。それじゃ肉屋さんや魚屋さんはどうするのだ?と思われるかもしれませんが、これはあくまで僧侶の戒律ですので、ご了解ください。
お釈迦様という方は、食べ物にしても日常の生活にしても、すべてバランス良く過ぎたることが無いようにと教えておられます。私達が生きる上で、他の命である食物を頂くのは仕方ないことです。これをよく自覚して、食べ物を「喰う」のではなく「頂く」という気持ちを持って生活したいものです。
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