早いもので一学期も終業式。保護者の方々のご協力を心より感謝申し上げます。
さて、早いものついでに申し上げますと、私儀、本年七月で園長の職に就いて二〇年になりました。この期間、大過無く過ごせたのも保護者の方々、歴代の職員、そして仏天のご加護であろうと存じます。宗教法人立というこの地域では珍しくなった経営形態を持つ幼稚園であるが為に、住職=園長という不文律により、園長に就任した二〇年前…。まだ二〇代で体力だけが取り柄だった私は経験不足を補う為にただひたすら園庭で園児と遊ぶ日々でした。この後遺症か?最近は園庭で遊ぶと、身体の節々の痛みが一ヶ月は取れない有様。寺も以前より忙しくなって、園庭に出ることは本当に少なくなりました。誠に慚愧に堪えません。
話はまったく変わります。私が大学時代のことです。花園禅塾という僧侶養成所的な寮にお世話になっていた私は指導員や先輩方の手篤い指導を受け、毎日を過ごしていました。
ある日、トイレ掃除当番、しかも寮のトップである老師の部屋の前トイレの担当が回ってきた私。先輩方の教えに従い文字通り舐めるようにトイレの床や便器を掃除していました。学生といえども修行でやっているわけですから、ゴム手袋など着けません。それでも無心でやるとキレイも汚いも無いものです。自分なりに完璧にトイレを掃除し、気分もサッパリしていると、そこにいらっしゃいました!恐怖の塾頭老師のチェック!おもむろに男子の小便器汚水口をカバーする円盤状のものを直々に素手で取り上げると老大師、「この裏の汚れが残っとるぞ!」とおっしゃって、ご自身の爪でこれをこすり取り、「洗剤や道具など使わんでもキレイになるワ!」と一言。綿密な掃除を怠った罰として私の目の前には定員五〇名程の建物すべてのトイレの円盤、数十個がうずたかく集められ、素晴らしい修行の始まり(涙)作業を続けていると段々爪がふやけて円盤にこびり付いた汚物が落ち難くなったところに、今度はクールに怖い先輩の登場。のろのろするな!なんて怒鳴られるかと思えば、「あ〜。もう爪が駄目だな。これを使いなさい。」と古い割り箸を渡してくださいます。有り難かったなぁ。
この話は何度か『おさなご』でも書いているかもしれません。この指導、現代では体罰と判断されるかな?ご安心下さい、私はかような指導を先生方に強要する気も、園児に行おうという事も全く思っていません。それでも今でも有り難く感じるのです。老師の事も、先輩の事も…。鍛えてくれたのですよ。この放し飼いで育ったお坊ちゃまを!大学を出たらさらに厳しい専門道場に入門するのですから。私には…。そう私にとってはこのような指導が必要だったのだと思います。
今回は長々と園の生活とは無関係なことを書いてしまいました。園児の皆さんも長い人生の中、たくさんの人に出会い、様々な経験を積まれることでしょう。厳しい体験もする事でしょうが、どんな事でも積極的に捉えチャレンジ出来る柔軟な心が育まれたら素晴らしいと思います。
末筆となりますが、一学期中のご厚情に改めて感謝申し上げます。夏休み中のお子様の安全には充分にご留意下さい。
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