境内の梅が咲き始めました。園児達は日々、園庭や教室に元気な声を響かせています。保護者各位におかれましては、お子様の成長に喜び多い春をお迎えの事と存じます。
あの震災以来、幼稚園では3月11日に園児と共に犠牲者に絵灯籠を供え、祈りの時間を持つことにしています。震災から4年経ちますと園児の中には震災の事を知らない子供達も増えて来ますが、私達保育者の襟を正すという意味においても、幼稚園が続く限りこの行事は継続したいと思います。
私達はあの大惨事により、たくさんの命を喪い多くの人が大変な苦難を経験しました。今、4年の歳月が流れると被災地に生活する私達でさえも温かい食べ物に心から喜べたあの時を忘れてしまいそうです。命の大切さ、縁の大切さ、一人では誰も生きて行けないこと、犠牲者の方々から教えて頂いた事を私達は是非とも今一度心に期すべきでありましょう。
ひとの生をうくるは難く やがて死すべきものの いま生命あるは有り難し 正法を耳にするは難く 諸仏の世に出づるも有り難し
(法句経182)
お釈迦様はある時、地面から土をつかみ、自らの親指の爪の上に載せ、弟子に境内の土と爪の上の土、何れが多いかを質問しました。当然、地面の土が多いに決まっていますが、お釈迦様がおっしゃりたいのは、数限りない生き物の中で、人間に生まれることはあたかも広大な大地から選ばれて僅かな面積の爪に載る土のように難しいという事です。せっかく頂戴した人生、悔いの無いように日々精進しようではありませんか。
この1年間、保護者の方々には大変お世話になりました。そして何かとご心配をお掛けした年度でありました事、心よりお詫び申し上げます。お子様方の健やかな成長を祈念し、保護者の方々のご期待に応え、さらに建学の精神を遵守しつつ、職員一同精進して参ります。
園長 千坂成也 合掌
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