戒（かい）きまりを守り正しい人になろう。
定（じょう）一所懸命がんばれる人になろう。
慧（え）みんなと仲良くできる工夫をしよう。

7月15日は塩釜中央幼稚園の創始者で前園長の千坂精道和尚が遷化した日です。東園寺の先住職でもある精道和尚は昭和42年秀峰和尚の突然の遷化に伴い住職に就任。その年の秋には塩釜中央幼稚園の認可を受けています。秀峰和尚の遷化が1月31日で園の認可が10月、翌年の春には第一期生を迎えていますから、恐るべき速度で仕事を進めたものだと思います。
　寺としてもそれなりに忙しい東園寺が幼稚園の経営に乗り出したのは、仏教の精神で将来を担う子供達の基礎教育を行いたいという念願に駆られての事です。また、若い保護者の方々と仏教との縁を深めたいという期待もあったようです。
　仏教といってもその教えは広大で深遠なものですから、何をもって保育の根幹とするかは難しいところですが、塩釜中央幼稚園は教育方針として仏教の基本的な教えである「戒定慧の三学」を掲げています。幼稚園ではこれを身近な生活に置き換えて、戒は「きまりを守り正しい人になろう。」、坐禅などの禅定を意味する「定」は物事に集中するという意味から「一所懸命がんばれる人になろう。」、慧はお釈迦様の智慧の働きである慈悲を想定して「みんなと仲良くできる工夫をしよう。」と理解して保育に当たっています。
　人生は甘美なものだけでは無く、生きていれば様々な苦難に遭うのは必定。実に苦難を乗り越えてこそ、私達は本当の幸せというものを経験するのです。親として子供に苦痛を味あわせたく無いというのは当然の事ながら、親が百パーセント子供をケアして人生を全うさせるのは不可能な事ですね。親の手の届かぬところで子供が逞しく日々充実して生活して行く為には、時に厳しく子供に接する事が必要ですし、子供が興味を持たぬことにもチャレンジさせる事が大切だと最近強く感じます。
　何事も楽しく！という世の中ですが、努力そのものが喜びという心がなければ、その楽しみも浅いものとなるでしょう。子供達には運動会や、お遊戯会の練習を通じて努力する事の大切さや物事を成し遂げる大きな喜びを体験して欲しいと念願します。