ただ今、上野の東京国立博物館では臨済禅師・白隠禅師遠諱記念特別展「禅〜心をかたちに〜」が、日本橋の三井美術館では特別展「松島瑞巌寺と伊達政宗」、出光美術館と永世文庫では臨済宗最初の寺院である博多聖福寺の住職であった仙国T師(1750〜1837)の企画展が開催中です。これだけ見ますと首都圏に臨済宗が巻き起こっているかのようです。
今年は臨済宗宗祖である臨済禅師が亡くなられて1150年の年忌の年に当たっています。武家や天皇、公家の外護を受けて発展した宗旨です。
唐代の禅僧である臨済禅師の代表的な言葉に次があります。
「仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺し、羅漢に逢うては羅漢を殺し、父母に逢うては父母を殺し、親眷(しんけん)に逢うては親眷を殺して、始めて解脱を得ん」
大変恐ろしい言葉ですね。仏を殺せ!親を殺せ!とは高僧の言葉とは思えません。今の時代に臨済禅師がおられたら、ネットで炎上間違い無しかもしれません。
しかし、ここでいう「殺せ」は生命を奪うという物騒なことではありません。自分の心の中にある「絶対」を超えてみろ!という意味です。私たちの心の中には「自分はこんな人間」「あの人はこんな人」という思い込みがあります。時にこの思い込みは私たちの人生を窮屈なものにし、自分の限界というものを設定してしまったりします。この心のリミッターを外し、自分自身を自分自身から解放するというのが「仏を殺し、祖を殺す」ということなのです。
私たち大人はもちろんのこと、子供でさえ自分自身に対する思い込みから、自らその行動を萎縮してしまうことがあるようです。幼稚園での他の子供達との関わりによって、それぞれの子供の興味が広がったり、視野が広げられたりするならば、こんなに嬉しいことはありません。
|