二月十五日は涅槃会、お釈迦様がお亡くなりになられた日であると日本の仏教では信じられています。
涅槃とは煩悩の炎が吹き消されこの上なく静かになったということを表すニルバ―ナを訳した語句です。
お釈迦様は三十五歳のときに悟りを開き、煩悩の問題を解決されています。ですから生きながらにして涅槃に達していたのですが、それでも人間ですので身体の痛みは感じます。
『大槃涅槃経』には病苦や老いによる疲労と戦いながら最後の布教の旅を続けるお釈迦様のお姿が描かれています。お釈迦様はチュンダという青年からキノコ料理とも豚肉料理とも伝えられる食事の寄進を受け、赤痢のような病気に罹ってしまいます。この時、お釈迦様は「私はもともと老齢に達し、身体の調子が悪かったのだ。チュンダが用意してくれた食事を食べて、体調を崩したのでは無い。チュンダは私の為に素晴らしい供養をしてくれた。」とおっしゃい篤信の若者を気遣ったと経典は伝えています。
お釈迦様の死を表す場合、正式に大槃涅槃という言葉が用いられます。これは肉体の痛みからも解脱した完全な涅槃という意味です。
お釈迦様は沙羅双樹の下、腹痛や腰痛、そして若い頃よりお釈迦様を悩ますことがあった頭痛からも解放され、完全な安寧を得たのです。仏教は開祖であるお釈迦様の不都合とも言える病歴や挫折を記録している希有な宗教だと思います。お釈迦様でも苦労しているのだから、我々も精進しよう!前向きに進もう!仏教の経典は、そう私達を励ましてくれているようです。
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