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おさなご 6月号 平成28年9月更新

『いただきます』

 

 ご法事の席、少し前に献杯という言葉が流行しました。献杯は「杯をささげる。」(字通)「相手に杯を差し出して敬意を表すこと。」(大辞林)で「主賓に献杯する」という具合に用います。今日用いられる献杯は、亡くなられた方にお酒を供え、共にこれを頂くという意味でしょうから、語句の用い方としては正しく無いようです。亡き方と共に酒を酌み交わすということを否定するものではありませんが、「ご指名ですので献杯の音頭を云々」等という言葉を耳にすると、お祝いか不祝儀か分からなくなりますね。「音頭」はさすがにダメでしょう!

 

 それでは法事ではどんな言葉でお斎を始めればよいのでしょう?言うまでもありません。「いただきます」ですね。「いただきます」の語源である「頂戴」は歴とした仏教用語で、「頭の上に相手の足をのせること。最上の敬礼の作法。」「心から敬い尊んで、物などを目より高くささげ、頭を下げること。」(仏教用語事典)という意味があります。 

 

 日本人は食べ物を頂く文化を持っています。決して喰うのではありません。多くの命と縁の賜物である食べ物をあたかも仏様を拝むように「いただく」のです。お子様と共に、私たち大人もその本来の意味を吟味し、食べ物を「いただく」有難さを再認識したいものです。


 園長 千坂成也 合掌
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