梅の花が清らかな香りを漂わせ、小鳥のさえずりが心地よい時節となりました。
保護者の皆様方にはお子様のご入園、ご進級に喜び多い春をお迎えの事と存じます。否、新入園児の保護者の方々にはご不安をお持ちの方も少なくないかもしれません。
我々大人が家庭内での行動と職場などの外の社会に身をおいたときの行動に差異があるのと同じで、子供達も各ご家庭での姿と幼稚園という子供にとっての社会に身を置いた時の個性に大きな違いがあることは珍しいことではありません。また、家庭内では賑やかなお子様が幼稚園に来ると泣いてばかりいるとか、幼稚園で大人しくしているお子様がその分、自宅に帰ると幼稚園入園前よりも聞き分けが無くなるとか、保護者の方々がご不安を抱く事象が入園当初はよくあるものです。何かしらお子様の行動にご不安をお持ちの際には各クラスの担任にご連絡頂ければ結構かとは存じますが、何分、年少児や年中児は発達の個人差が大きい年頃ですので、過敏にならず大らかなお心でお子様を見守って頂ければ幸甚と存じます。
塩釜中央幼稚園は臨済宗妙心寺派東園寺が設置し、運営している幼稚園です。カリキュラムの中にも仏教の教えや臨済宗の教えが随所に生かされています。臨済宗の宗祖臨済禅師は唐代の禅僧です。臨済禅師の教えは『臨済録』という書物に記録されていますが、その中で禅師はすべての迷いのもとは「自分を信じることが出来ぬことから生じている。」とおっしゃっています。臨済禅師の説く「自信」は一般的に自分と他人を比べ、自分が優れていることにより得るものでは無く、自分自身が不思議な縁により生かされ、自分自身が自分自身の他に無いということを自覚することです。当たり前のことですが、これに気付き、心から自分自身の存在に感謝することは、とても難しいと臨済禅師は説いています。自分というものに疑念を持ち、悩みに悩み尽くした果てにやっと自分自身を信ずることが出来るのです。
親として自分の子供を愛おしく感じ、大切に思うのは当たり前のことですが、可笑しなことに私達大人は大切な我が子と他のお子様を比較し、時に右往左往してしまいます。子供は掛け替えの無い存在。それを他と引き比べてはいけません。
幼稚園は園児が成長するだけでは無く、親も、そして教員も共に成長する場所であると思います。幼稚園での活動や行事を通じて、子供達が大きく成長し、各ご家庭の皆様に一つでも多く楽しい思い出を作って頂けますよう教職員一同、一所懸命保育に取り組んで参ります。何卒ご協力賜りますよう懇願申し上げます。
園長 千坂成也 合掌
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