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おさなご 6月号 平成29年8月更新

命は誰のもの?

 

 お釈迦様は釈迦族の王子として生まれました。王子が生まれたばかりのころ、アシタ仙人という方が城にやって来て、王子を見るなり王家を継げばインド全土を統一する王となり、出家すれば悟りを開いてブッダとなるということを予言しました。

 

 当然、父王シュッドダーナはゴータマ王子が王位を継いで、小国だったと言われる釈迦族を大いに発展させてくれることを信じていましたが、その意に反してゴータマ王子は大人しく優しい人柄だったと言われています。お釈迦様の少年時代のエピソードに次のようなものがあります。

 

 ゴータマ王子の従兄弟のダイバダッタは、王子と異なり活発でやや粗暴なところがありました。ある時、ダイバダッタが射落した鳩を助けたゴータマ王子。鳩は射落した自分のものだと主張するダイバダッタに「まだこの鳩は生きている。生きている鳩の命は鳩のものだよ。」と応えます。

 

 「生きている鳩の命は鳩のもの…」とても考えさせられる言葉ですね。私達はこの地球を我々人間が支配し、生き物、ことに動物園で飼育したり、ペットとして共に暮らしたりしている動物達を我がものの如く錯覚していますが、命というものは元来その動物のもの。もちろん、私達は生きる上で必要なタンパク質を摂取する為に、いろいろな動物の命を奪い、それを頂戴せねばならぬ身ではあります。であるからこそ、これに感謝して、これによって得られた力をより良く使うという自覚を持ちたいものです。

 

 最近、日本では飼いきれなくなったペットを放置し、大切な命が殺処分されるというケースが増加していると言います。動物の命を平気で等閑にする人は、他人や自分自身の命も結局は粗末にしてしまいます。園児の皆さんには身の回りの動植物を大切にすることにより、他人の命も自分の命も大切にすることの尊さを学んで欲しいです。


 園長 千坂成也
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