法衣。とても便利な衣服です。これ一着で葬儀から結婚式までどんな場面でも対応出来ます。もっとも対応出来ると思っているのは僧侶当人だけで、結婚式などに法衣の僧侶がいるのを訝る方もおられるでしょうが…。テカテカの頭でスーツなんか着ていると、怖い職業の方に間違えられたりしますから、剃髪の頭には法衣が良いと私は思います。
しかし僧侶の持ち物の基本と言えば「三衣鉄鉢」つまり法衣と食事の為の器しか所有していないのが、僧侶本来の姿です。ですから法衣がどのような場面にも対応するというよりは、そもそも僧侶は法衣しか持っていないのが本来の姿です。
もっとも時代は変わり、僧侶の法衣もいつからかは明確ではありませんが、高級素材…。袈裟を多数有す僧侶は、法要の前にあれやこれやと法衣を選ぶ始末。お釈迦様の小欲知足の教えに僧侶自身がその教えに背いているのが現実です。
お釈迦様がお召しになった法衣は糞掃衣(ふんぞうえ)と呼ばれるもので、死者の不要となった衣服や、ゴミ捨て場にあったぼろきれを綴り合わせたものでした。しかもこれが更にぼろになると、今度はこれを適当に裁って雑巾にされ、雑巾としても利用できない程、布がぼろぼろになると、最後には粘土に混ぜて壁の補強材にしたと言います。
お釈迦様は物を大切に活かす工夫を試みることによって、自分の人生や時間を活かすことも熟考しなさいと薦めておられます。家族との時間、友人達とのひと時大切にしたいですね。 |