2月15日は涅槃会。お釈迦様が亡くなられた日であると日本の仏教では信じられています。釋迦族の王子として誕生し、29歳で出家、35歳で悟りを開きブッダとなられたお釈迦様は45年にわたり布教活動をされ、クシナーラという町の沙羅双樹のもと80歳の人生を閉じられました。江戸後期に描かれた東園寺の小池曲江居士筆涅槃図(塩竈市指定文化財)を見ると多くの神々や人々、さらには動物達に囲まれたお釈迦様の臨終は非常に穏やかなものであり、多くのものたちに慕われたお釈迦様の人となりが伝わって来ます。
お釈迦様の最後の食事を施したチュンダという人がいます。チュンダは飾り細工の職人だったようですが、お釈迦様に施すことを大変名誉に感じており、たくさんの料理を準備してお釈迦様とお付きの僧侶を迎えました。お釈迦様はたくさんの料理の中からキノコ料理を選び、これだけを食され、他の食べ物は他の僧侶に与えさせ、食事が終わるとそのキノコ料理を「残った料理は穴に埋めなさい。それはあらゆる神々や人間の中でも修行を完成した人の他には消化し得ないものです。」と言って地面に埋めさせてしまいました。食事を終えチュンダに説法しましたが、間もなくお釈迦様は赤痢のような病気になってしまったようです。病床でお釈迦様はしきりにチュンダのことを気にかけます。「チュンダの料理を食べて私は病気になったのではない。私は老齢で何を食べてもお腹を壊したであろう。チュンダはとても良い供養をしてくれた良い供養をしてくれたチュンダに後悔の念を起こさせてはいけない。」と。
お釈迦様の教えは武力を使わずに多くの地域に広まった唯一の世界宗教と言われることがあります。厳密には時に権力と結びつき武力の後ろ盾となったこともあった仏教ですが、基本的に穏やかな宗風を持つ背景にはこのようなお釈迦様の優しいお人柄があったように私は感じます。
大きな涅槃図に描かれるお釈迦様の穏やかな表情とお釈迦様の死を悼む方々の様子から、園児の皆さんには命の大切さを学んで欲しいと念願します。 |