赤くてマユのような形をした人形。ダルマさん。日本では縁起物として神棚に祀られることも多いダルマさんは、本来は禅宗の初祖。坐禅をもっぱらとする宗派である臨済宗や曹洞宗の教えのおおもとをインドから中国へと伝えた方と信じられています。
南インドの香至国(こうしこく)の第三王子として誕生されたダルマさんは幼い頃から仏教を篤く信仰した父王の影響で、仏陀の教えに触れることが多かったそうです。ある時、父王は般若多羅(はんにゃたら)さんという僧侶を城内に招き教えを伺いました。するとその法話がとても素晴らしかったものですから、ご褒美にと大きな珠を般若多羅さんに授けました。般若多羅さんはその珠をダルマさんとその兄達に見せてこう言います。「この珠に勝る宝があったら言ってごらん。」
ダルマさんの2人の兄は口を揃えて「それは素晴らしい光をしています。それに勝る宝はありますまい!」「それは傷ひとつ無い綺麗な珠です。やはりそれに勝る宝は思いつきません!」と答えました。しかし一番下の弟であるダルマさんは意見が異なります。「和尚さん、その珠の光は素晴らしいですが、太陽の光や月明かりを借りて光っているにすぎません。またそのような珠は傷がつくと価値が下がると聞いています。私はそのような宝よりも自ら光り、傷ついても立ち直ることが出来る人の智慧の方が素晴らしい宝だと思います。」
ダルマさんの答え、百点満点ですね!ダルマさんは父王が亡くなった後に僧侶になり、前述の通りインドから中国へ禅を伝えるような立派な方になるのです。
10月5日は達磨忌。達磨大師が亡くなった日であるとされます。幼稚園では達磨大師が伝えた坐禅を園児達が実践し、その遺徳を偲びます。 |