7月の目標に掲げられる「布施奉仕」との記載があります。
布施を仏教辞典で調べると「施すこと。これに財物を施す財施、教えを説く法施、種々の不安・恐怖を取り除く無畏施の三つがある。」とあります。一般には信者や檀家が僧侶に対し施す金品を想定して用いる語句ですが、僧侶側が読経したり、法話をしたりするのも布施なのです。また不安や恐怖を取り除き、穏やかな心を取り戻させるのもとても大切な布施ですね。このような視点だと、園児達の幼稚園での生活も私達の日常も、布施という思いやりが物事を円滑に進めてくれていることが分かります。
インドのある森の樹下に年配の修行者が疲れ果てた姿で座っています。老人は遊行者でしたが、その日は食事の施しを受けることが出来ず、腹ペコでその森にたどり着いたのでした。
その様子をキツネとサルとウサギが見ていました。心優しい3匹はそれぞれに老人の為に食べ物をとキツネは川へ、サルは山へと向かいます。キツネは魚を捕まえるのが上手く、サルは木登りが得意で美味しい木の実がなる樹木を知っていました。困ってしまったのはウサギです。ウサギが好む食べ物は老人に喜んでもらえそうにありません。仕方がなくウサギは老人の前に出て得意のダンスを踊ることにしました。遊行者の老人は大変疲れていましたが、突然出て来て踊りを踊る可愛いウサギに心癒されます。
しかし、立派な魚を捕まえてきたキツネと美味しい木の実を採ってきたサルにはウサギの行為が不服でした。ウサギもいつもは仲が良い友人が機嫌を害していることがとても残念でした。そこで遊行者がウサギのダンスは腹を満たすものではなかったが、充分に心を満たしたことを伝えると、三匹はいつもの仲良しに戻りました。
こちらはお釈迦様の前世を伝えるジャータカ(本生経)という経典のアレンジで、年に一度は園児にお話しています。本来の経典ではウサギが老人に焚かせた焚き火に身を投じ、自らを施します。ジャータカは利他行をテーマとしていますが、やはり現代的な視点からは行き過ぎた部分があると私には思えます。園児の皆さんには自分というものも大切にしつつ、自分に出来ることを考え、人や社会に貢献出来る人間になって欲しいものです。 |