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法螺貝 住職の法話

令和三年七月発行

「先祖代々?お盆で供養される方々」

 お盆が近づいて来ました。世間の方々には実感が無いかもしれませんが、寺ではお盆の記念品などの発注が終わり、あとは清掃やお盆の荘厳をするばかりですのでお盆が近づいたと感じるのかも知れません。
 お経を読んだ後、僧侶が積んだ功徳を何かしらに回らせる文をお読みします。これが回向(えこう)と呼ばれるものです。お盆のお勤めでもこの回向が読まれますが、そのお盆の回向で命の対象となるのは言うまでもなく施主が依頼した亡者、そして国の平和、さらには「各人多生の父母、歴劫(りゃくごう)の冤親(おんしん)、一切の幽霊、河沙の餓鬼」という面々。難しい名詞が並びましたが、各人多生の父母とは、私達が何度も輪廻して来た都度の父母のこと。仏教では私達の肉体も空なるものと考えますので、実は血縁による先祖代々というのは仏教的では無く、輪廻転生が厳然たる事実と考える上では、輪廻転生する毎に産んで頂いて育ててくれた父母が供養の対象となります。ちなみに父母が生きている場合には百歳の長寿を願うのだとか。次に歴劫の冤親とは輪廻を繰り返す上で敵となったものも味方となったものも同じ様に供養するという意味。冤親は怨親(おんしん)とも表記され、余談ですが仏教の戦没者慰霊は怨親平等と言って、敵味方分け隔てなく供養するのが理想とされます。次に一切の幽霊、河沙の餓鬼は、迷える霊魂やガンジス河の砂の様に数多い餓鬼道のものどもという意味。
 如何でしょう。こうしてみると一般的な血縁による先祖代々の供養よりも、本来の仏教思想では遥かに多くの者に祈りを傾けているのがわかります。もちろん血縁によるご先祖を尊ぶのは大切なことですが、世の中で出会う全ての人が輪廻を繰り返す途中で巡り逢った可能性のある法縁深い人と考える仏教の本来の教えは、非常に深く、社会を平和にするような気がします。もちろんこの世知辛い時代に先祖供養をするだけでも奇特なことではありますが…。

 
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