宮城県塩釜市 / 臨済宗妙心寺派の松巌山 東園禅寺（宗教法人 東園寺）のホームページです。塩釜中央幼稚園も運営しています。

「人が生まれたときには、実に口の中に斧が生じている。愚者は悪口を語って、 その斧によって自分を断つのである。」　スッタニパータ６５７　『ブッダの言葉』岩波文庫より
　ここ数年、芸能人の方々がインターネット上の誹謗中傷に悩み、自ら命を絶ったことが何度か報じられました。匿名性の高い場で他人に罵詈雑言を加えるという卑怯な行為、小衲にはまったく理解出来ません。そんな事をするのは若い人だろうという大方の認識とは異なり、中高年のネットユーザーがこのような暴挙に走ることも少なく無いとのこと…。私はもうすぐ５７歳ですが、我々のように成人してからインターネットの世界を経験した世代の中にはネット上の倫理観が欠落している者が多いとされているそうですから、気をつけねばなりません。
　冒頭の語句はお釈迦様の思想が最も色濃く反映されているとされるお経であるスッタニパータの一節です。諸説ありますがお釈迦様は紀元前４６３年に誕生されて３８３年に入滅された方です。このスッタニパータの一節を見ると、如何に文明が進めども人間の本質というものは変わらないのだと感じます。ついつい悪言を使ってしまうのが人間の性なのでしょうか…。だから躾や社会的なルールが必要なのでしょうね。そして、言葉やペンの暴力は肉体的なものよりも長く、そして発した人の意図を超えて、その言葉を受けた人間の心に重く伸し掛かるものです。
　そしてブッダがおっしゃる通り、悪言を発せば、発した人間も実は傷つく事になり、やがては本人に自覚が無くとも破滅の道へと降るのです。