令和五年十月発行
「達磨大師の教え〜二つの真理、四つの実践」
達磨大師は禅の教えをインドから中国へと伝えた僧侶で、臨済・曹洞などの禅宗では初祖そして信仰されます。正式には菩提達磨大師、また円覚大師という諡号を唐の代宗という皇帝から頂いていますので、「初祖菩提達磨円覚大師大和尚」と位牌などには書かれます。
禅宗で伝わる達磨大師の伝記は史実では無く、有名な面壁九年や梁の武帝との問答というものは実際の出来事というよりは宗教的な真実というべきものでしょう。
達磨大師の教えにより近い教えとしては『二入四行論』というものがあります。これが「二つの真理と四つの教え」です。二つの真理とは私達にはそれぞれ仏としての素養があるという真理、もう一つがそこに至るまでの修行があるという真理で、その修行として四つの実戦が薦められます。その四つとは。
1報怨行(ほうおんぎょう)=何か苦痛やハプニングに遭遇しても前世の報いだとしてくよくよしないこと。
2随縁行(ずいえんぎょう)=何かしら良いことや富に恵まれても良いことも永久に続くものでは無いと理解し奢らないこと。
3無所求行(むしょぐぎょう)=すべてのものごとに執着せず虚心坦懐に生きること。
4称法行(しょうほうぎょう)=すべての存在は本来清浄であると信じ、自分の利益も他人の利益も大切にすること。