令和六年一月発行
「無事是貴人」
能登半島地震、そして羽田での航空機事故と「あけましておめでとう」という言葉さえも憚られるような年明けとなってしまいました。
先ずは亡くなられた方々の御霊が安寧なることを祈ると共に、被災地の方々の不安が少しでも小さくなることを念願します。
さて、今回の惨事、東日本大震災を経験した我々にとっては地震や避難生活の労苦は他人事では無く、確率から言えば自動車よりも安全と思われる飛行機の事故は、人生何があっても不思議では無いことを如実に示された感があります。
無事是貴人(ぶじこれきにん)は臨済禅師の代表的な言葉です。ここでいう無事は一般的な無事とは少し異なっていて、他と比べようも無い自己というものを自覚し、何の計らいも無く平常(びょうじょう)に日々を過ごすことを意味します。
このような宗教的な玄旨はしばらく置き、今は一般的な意味で「何事も無いのが一番!」と理解したい禅語です。皆様、何卒ご無事なる一年を!