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法螺貝 住職の法話

令和六年四月発行

「天上天下唯我独尊」

 四月八日はお釈迦様の誕生日。灌仏会(かんぶつえ)や降誕会(こうたんえ)という法要が営まれます。ご承知の通りお釈迦様はインドとネパールの国境付近に住んでいたと思われる釋迦族の王子として誕生しました。お釈迦様のお父様スットダーナ王とお母様マーヤ妃はなかなか子宝に恵まれず、やっと授かったのがお釈迦様、ゴータマ・シッダールタ王子でした。
 出産が近づいた仏母マーヤ妃はお産の為に実家に帰ります。その道すがらルンビニーの園に立ち寄った際にアショーカ樹の花がとても綺麗だったものですからひと枝手に取ろうとした時にお釈迦様は誕生しました。生まれるとすぐに東西南北上下に七歩ずつ歩み、片方は天を指差し、片手は地を指差して天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)と仰ったと伝えられます。実はこの語句の後にこの誕生が自分にとって最後の誕生であり、ブッダとなって二度と輪廻しないことを宣言されるのですが、日本の仏教ではあまり触れられません。
 いずれにせよ、一宗教の開祖だけに非常に「盛った」お話しとなっていますね。
 でもどうでしょう!お釈迦様をお産みになったマーヤ様の耳には「おぎゃあ、おぎゃあ」という泣き声が今まで聞いた赤子の声とはまったく違って聞こえたでしょうし、元気に生まれた我が子の顔や手足を見て、今まで見た他人の赤ちゃんとは全然異なる愛おしさと嬉しさを感じたに違いありません。そして長年、「世継ぎを」と期待されて来た王妃の立場を考えるならば、我が子の姿に大きな安堵を覚えたかもしれませんね。
 そのもろもろを集約した言葉が実に天上天下唯我独尊だと私は思います。
 私達人間は生まれた時には本当に頼りないもの。魚の様に生まれて直ぐに泳ぎ出すことなど出来ません。誰かに養われ、育まれて一人前になる存在です。そして一人前になるのが他の生き物に比して何と時間が掛かることか!そう思うと我々が生まれたときの声も親にとっては天上天下唯我独尊だったのかもしれません…。本当に感謝!

 
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