無著道忠禅師偈頌 「禾黍不陽艶云々」
無著道忠は但馬の出身。
妙心寺塔頭竜華院の竺印祖門の法嗣。江戸期を代表する学僧で374種991巻の著作を残した。宝永4年妙心寺に出世、3度に渡り妙心寺住持を務めている。当山中興開山曹源和尚は無著禅師に参じている。瑞巖寺帰山後、石巻蛇田に無著禅師の寺号を拝借し竜華庵という庵を結んでいることから、曹源和尚が如何に無著を尊崇していたか想像できる。
「禾黍陽艶ならずと 競って桃李の春を栽う 飜って力耕の者をして 半ば賣花の人と作らしむ 無著書」(イネやキビが美しくないと 桃やスモモばかりを栽培している しかしそれでは墾田を生業とする人を 花売り人にしてしまう)人間陽徳ばかりを求めると大切なものを失うというたとえであろう。