古梁紹岷禅師「松島十詠之一」(二曲半双屏風)
南山和尚こと古梁紹岷禅師が松島の絶景を読んだ詩。二曲半双屏風の仕立てとなっている。
<写真 右>
(訓読)
松嶋の烟波、碧海流る
瑞巌の東畔に僲舟(せんしゅう)を命ずれば
潮は通ず靺鞨、三千里
雲は接す蓬莱七十洲
(意訳)
靄が立ちこめる松島の碧々とした流れ
瑞巌寺の東岸から遊山舟を浮かべてその絶景に親しむ
この流れは遥か靺鞨国へと三千里の距離を隔てて通じ、
この雲は蓬莱七十洲と接しているのだ。
<写真 左>
(訓読)
身心を一洗して皆水に似たり
平分世界、捴て浮が如し
薫風、乍ち送る它山の雨
岸を隔つ楼臺、暮愁を鎖つ
(意訳)
一度、身心を洗えばそれが水のような清らかさ。
水平線は世界を等しく分け、景色は宙に浮いているようだ。
新緑の間を通り至る心地よい風は他山に降る雨を運んでくる。
岸を隔てる高楼に夕べの物思いにふける。