雲居希膺禅師「君設有不仁臣不可以不忠云々」
君に設(たと)い不仁有れども臣は不忠を以てす可からず。
父に設い不慈有れども子は不孝を以てす可からず。
人は設い不義有れども我は不誠を以てす可からず。
誠は是れ衆善の源。
孝は是れ萬行の本。
孝有る者は必ず忠有り。
誠有る者は必ず徳有り。
徳有らば則ち必ず衆敬い。
忠有らば則ち必ず君愛す。
君愛すれば則ち必ず身立ち。
衆敬えば則ち必ず功成る。
功成れば則ち必ず名を遂ぐ。
身立てば則ち必ず家齊(ととの)う。
外に在っては五常を守り、内に在っては十善を修むれば、
現世は自ら安穏、来世は必ず安楽なり。
希膺(花押)
『雲居和尚墨跡集 続』(102頁 禅文化研究所発行)に掲載される「西伯曰云々」(瑞巌寺所蔵)と類似した内容。儒教的道徳を記した内容で在家信者に書き与えたものであろう。興味のある方は『訓注雲居和尚語録』(能仁晃道師 禅文化研究所405頁)を参照頂きたい。