古梁紹岷「蚊遣り画賛」
「いむせさを 隣へ扇ぐ 蚊やり哉 南山」
南山こと古梁紹岷禅師の「蚊やり」画賛。賛は「いむせさを 隣へ扇ぐ 蚊やり哉 南山」とあります。「蚊やり」は「蚊を追い払うために、草木の葉や木くずなどをいぶしたり、香をたいたりすること。また、そのいぶすもの。かいぶし。かやりび。」(『デジタル大辞林』より)の意で、現在の蚊取り線香。「いむせさ」というのは現代語でも用いる煙たいという意味の「燻す」に「気分が晴れず、うっとうしい。気づまりである。」という意味の「鬱悒(いぶせ)い」とを掛けた文言だと思われます。
夏日に即興で描いた作品と思われますが、自分で焚いた蚊やりの煙を他方に扇ぐように修行という扇で、自己の煩悩によって自ら被る鬱々とした気持ちを払い除けろという意味が含まれているのでしょうか?
本紙 縦112㎝×横28㎝