雲居希膺禅師「自筆書状 奥山大学大條兵庫宛」
御意と為して貴札忝なく拝見せしめ候。仰せの如く此度義山様御法事、万端御首尾能く、結構に相い調い、御葬礼の刻、白日青天、殊に色色祥瑞御座候。大慈院御菩提成就のみに非ざるの儀、御国家御長久、子孫御繁昌、御気瑞、惶れ乍ら(※)奉り候。右の趣、然るべき候、上聞に達し下さるべく候。恐惶敬白
九月初五日 雲居希膺(花押)
奥山大学殿
大條兵庫殿
貴報
※文字欠落
義山公は二代藩主忠宗公の法号。この墨蹟は雲居禅師が万治元(1658)年7月12日に没した義山公の追善供養が首尾よく厳修し、天候にも恵まれ、義山公の菩提のみならず、国家長久、子孫繁昌の兆しがあったことを義山公の側近である奥山大学、大條兵庫に報告した消息です。雲居禅師は翌年の万治2年に遷化しますので、晩年の筆であることが判ります。
義山公の葬儀や追善に関する記録は少なく、本状は大変貴重な資料であると共に、丁重な文章から藩に仕える僧侶の気配りや労苦が伝わる作品です。