臥輪禪師偈曰
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臥輪禪師偈曰
臥輪有伎倆
能断百思想
對境心不起
菩提日月長
慧能大師和之曰
慧能無伎倆
不断百思想
對境心屡起
菩提作麼長
(訓読)
臥輪禪師偈に曰く
臥輪は伎倆有り
能く百の思想を断つ
境に對して心起らず
菩提は日月長し
慧能大師これに和して曰く
慧能、伎倆無し
百思想を断ぜず
境に對して心屡(しばしば)起る
菩提作麼(いかん)が長ぜん
(意訳)
臥輪は働きがあって
よくあらゆる思念の働きを断じる事が出来る。
対象に向かって心が動かないので
悟りの心が長く続く
この臥輪禅師の偈頌を聞いて慧能禅師はこれに和韻して悟境を示す。
慧能にははたらきなど無い
あらゆる思念を断ぜず
対象に向かってしばしば心が動き
悟りの心は長続きなどしない。
瑞巌寺中興開山雲居禅師の書。瑞巌寺には臥輪禅師と慧能禅師の偈頌を双幅で書した名品が保存されています。臥輪禅師の偈頌は二元に止まり、慧能禅師の偈頌は善悪長短などを超えた空に徹した境涯を示しています。しかし慧能禅師の境涯に達する為には、ひたすら思念を断じ心を調える行を経ることが必要であると個人的に思う次第です。