画 小池曲江 賛 館柳湾 「山水訪友図」
(賛)
山翁有幽約
隔渓見客来
開軒呼不答
巌瀑轟如雷
七十七翁柳湾機
南宗画における伝統的な山水画の一つである米法山水の描法を用いた作品。筆を横に倒して横長の点を重ねて山の樹木などを描いている。
着賛した館柳湾(一七六二〜一八四四)は、江戸中後期の漢詩人で書家。名は機、字は枢卿、柳湾は号。幕府の役人であったが、引退後は江戸目白台に住んで漢詩人として活躍した。
上記は『みやぎの地域文化財Ⅲ』の解説を転載させて頂きました。柳湾の「七十七翁」という署名から天保九年(一八三八)に着賛された作品であることが分かります。先ず絵が描かれ、賛が置かれるのが通例であることから天保九年以前に描かれた作品だと思われます。ちなみに同年の曲江は八十一歳。曲江と柳湾の関係は不明ですが、曲江の活躍が広範囲だったことを示す資料です。