伊達綱村公「佐藤氏易信老人宛和歌」
十月中の三日一族
佐藤氏易信老人もとへ
紅葉見にまかりて あるじに
おくりつかハす
左中将綱村
冬までも色こき峯の
もみぢ葉をあかで詠(ながむ)る
宿ぞ久しき
『伊達家治家記録』(宝文堂版二十359ページ)元禄11年10月13日の項には、10月に入って満勝寺殿の遠諱などで外出を控えていた綱村公が、この日佐藤伊勢宅に紅葉をご覧になる為にお出掛けされ、数人の家臣等と茶事を行なった事が記録されています。この和歌は茶事の後に綱村公より佐藤易信に贈られたものです。
佐藤氏は丸森小斎村に千石を拝領した同地の邑主で易信は寛文6年に大番頭、延宝元年に江戸番頭等を勤めた近臣です。領地に延宝八年(1680)、遊仙寺を仙台保春院第四世煙水自樵禅師を迎えて再興しました。