雲居希膺禅師「寄語食肉漢」『寒山詩』より
語を食肉の漢に寄す
食時に逗留する無し
今生は過去に種(う)え
未来は今日に修す
祇だ今日の美を取り
未来の憂いを畏れず
老鼠の飯瓮(はんおう)に入り
飽くと雖(いえど)も頭を出だし難し
前花園、現松嶋、勝雄に寓す
把不住軒主
希膺(花押)
遠林房内に於いて操豪す
雲居国師による墨蹟で、一部に文字の異同があるものの寒山詩(265)「寄語肉食漢」を書写した内容です。
以前に紹介した作品雲居希膺禅師「法語 為君實難為臣不易云々」http://www.toenji.com/zousho/208.htmlの説明でも述べた通り、武家の中には滋養強壮の為に肉食を嗜むものもいたようで、国師の周りにも過食気味に肉を食す人があったのかもしれません。
(意訳)
肉食いの漢よ!お前らが肉を食べる勢いたるや留まることが無い。しかし現世の運命は過去世に植えた種によりもので、未来に受け取る結果は今生で行いによるものである。只、今の楽しさを貪って未来の不幸を怖れないで良いのか!それはあたかもずる賢いネズミが飯瓶の中に入り、お腹いっぱいになって瓶から首を出すことも出来ないようなものだ。
参考文献『寒山詩』(入谷仙介、松村昻禅の語録13 364頁)