無踰分求事而不費財
積隠徳者自得福焉
思君親之恩而慎行跡
守天命者自得禄焉
禁飽食大酒而遠色慾
養氣血者自壽焉
天保癸卯夏五仲澣之吉
八十六翁曲江平維則寫並書
賛文の出典は不明ながら石山丈山に同様の書がある。
内容は分を超える事なく陰徳を積めば福となり、君と親の恩を忘れず天命を守れば禄を得、飽食や酒を控え、色欲を遠ざけ気血を養えば壽(いのちながし)と。署名の通り86歳を迎えた曲江さんが記したことに接すると格段に説得力を感じます。
この福禄寿は文政2年曲江62歳の精緻な作品
(http://www.toenji.com/zousho/132.html)と比べると筆の衰えを感じますが、鑑賞する者を愉快にさせる力は圧倒的に86歳の作品にあり、同年に描かれた山水画(http://www.toenji.com/zousho/173.html)には壮年期と変わらぬ筆致であることから、晩年の曲江作品に見られる本作のような丸顔の人物描写は意図的なものではないかと思われます。

















