雲居希膺禅師 「天下泰平」
雲居希膺禅師(1582~1659)「天下泰平」
雲居禅師は瑞巌寺中興開山。土佐出身。2代仙台藩主忠宗公の招きにより瑞巌寺に入寺。政宗公菩提の為に陽徳院愛姫、天麟院五郎八姫に往生要歌を通じて念仏禅をひろめた。陽徳院、大梅寺を始め、諸寺を開創。万治2年大梅寺にて示寂。号は把不住軒。勅賜号(生前に天皇より賜る名前。死後は勅諡と表記。)は慈光不昧禅師。さらに大悲円満国師と勅諡される。
「天下泰平」正月に際し信者の求めに応じて書かれたのであろうか?
雲居禅師の書風と違うのではという声も聞こえてきそうだが、瑞巌寺にも横物で同じ語句の幅があり、やはり同様の書体であることと、署名花押は通常の雲居禅師の書と同様であることから雲居禅師の書に間違いないものと思われる。『雲居和尚墨蹟集続』所載作品。同書によれば正保期の作品とのこと。正保期は雲居禅師60代半ばで、岐阜瑞龍寺を復興したり、64歳で妙心寺に153世となったりと、世事に随った活躍の目覚ましい時期である。本紙84.5×12.9cm