鄧州全忠老師「棒画賛」
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鄧州全忠老師（1839～1925）は臨済宗妙心寺586世、道号は鄧州、諱は全忠。室号白崖窟。佐賀県唐津の人。八幡円福寺石応宗珉、阿波慈光寺の懶翁文常、久留米梅林寺の羅山元磨等に歴参、羅山の印可を得、31歳徳山の大成寺に住山、南天の一棒を手に天下の禅道場を巡って各地の禅匠と法戦を交えた。47歳、山岡鉄舟居士の尽力を得て東京選仏道場を創設、乃木、児玉大将等名士の参禅指導にあたる。特に乃木大将については師弟関係を超えて、乃木大将を敬慕しており、富士画賛等には乃木大将の漢詩を写しているものが多い。53歳の時に松島瑞巌寺に本山特命で住職となる。しかし、従来の瑞巌寺下の僧侶と折り合いが悪く、老師に東京出向中に弟子が藩祖政宗公の甲冑像の鼻を焦がす事件が生じ、これをきっかけに５８歳で瑞巌寺退山。一時、蕃山大梅寺に従するも、64歳で西宮の海清寺に晋山する。大正7年、80歳の時には釈尊の年齢を超えたとして生前葬を厳修。焼香師は黙雷老師が務めた。大正14年遷化。 あだ名の南天棒は三尺程の文字通り南天の棒を手に雲水や居士を叩きのめした事に由来する。
作品は老師の象徴である南天棒に自作の偈頌を着けた作品。瑞巌寺を退山した明治29年の書である事が分かる。起句承句で松島や金華山の風景を詠い、転句結句で、三尺の南天棒の威力により、国の文化精神が永久に導き出されると述べている。
「松島の浮霞、断煙を綴る 金華、雪を載せて転た嬋妍 請う看よ、三尺の南天棒 国光を打ち出す億万年」
