鐵牛道機禅師「法語 世尊随處侍鶖子云々」
世尊、随處に鶖子を侍す
汝已に師を離れて名實違う
智恵は第一と称すべからず
拈花只だ要す破顔の微
丙寅孟夏初二
紫雲鐵牛老僧
書して
良鶖小徒に示す
鐵牛禅師(1628~1700)の法語(偈頌)。弟子の良鶖に与えたもの。偈の中に登場する鶖子とは釈尊の高弟である舎利弗のこと。舎利弗は智恵第一と称されてお釈迦様の片腕と評価される人であるが、同時に保守的な仏教の代表者とも見做され、大乗仏典では時に道化役を課せられる。この偈頌の内容もそれに近く、智恵第一の舎利弗を揶揄して、弟子良鶖に不立文字教外別伝「拈華微笑」の境地を目指すことを勧めている。丙寅は貞享三年(一六八六)、鐵牛禅師五十九歳。
鐵牛に関しては「萬里一條鐵」等の作品解説を参照してください。