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法螺貝 住職の法話

平成二十六年十一月発行

「神と仏」

父なる神は厳然として言葉少なく威神力を発揮し、母なる仏は慈心深く、愛語を以て昼夜を分かたず衆生の為に不惜身命。
「言挙げ」を不是とする神道、とかくしゃべりたがる(?)仏教者に対し、前者を父の厳然さにたとえ、後者を母の慈愛に比することがあります。昭和の妙心寺派の管長様がこのたとえを用い、明治時代に神道と仏教が国策によって離婚させられたので、我々国民の一人一人がこれを大切に心せねばならないとおっしゃいましたが、なるほどと思います。 
神仏習合という信仰は、そこに政治的な背景があるにせよ、二つの宗教が互いに役割を担って日本人の心に安寧をもたらした尊い教えであることに間違いありません。
ところで、神仏習合が日本だけの思想だと言う方がいますが、これは誤りで、保守的な仏教国の代表であるミャンマーでは「ナッ」という土着の神の祠が仏教寺院の境内に祀られていますし、タイなどでは仏教寺院の壁面にヒンズー教に由来する物語が描かれています。ミャンマーでは世俗的な願望は「ナッ」に祈り、お釈迦様には生き方を導いて頂くと理解されているようです。これに関しては日本でも本尊が釈迦牟尼仏である場合は世俗的な願を立てないという教えが一部にありました。

当山の本尊は釈迦牟尼仏。無理な願いはせぬように…。「長生きしたい。」「お金が欲しい。」それを願い事の出来る自分自身が生かされている事に先ずは感謝しようではありませんか。



 
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