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法螺貝 住職の法話

平成十七年九月発行

『 看脚下 』

 昔々インドのガンジス河に一頭の象の死骸が流れていました。これを見つけた智慧の浅いカラスは嬉々として言いました。「こりゃあ良いものを見つけた。これに乗れば楽に移動が出来るし、なんたってこの食べ物の豊富さはどうだい!」その浮島のような死骸にちょこんとチン座したカラスは心行くまで象の肉をついばみ、のどが渇けばガンジス河の水を飲み、水面を通り抜ける風を楽しみながら何日も飛ぶことさえしません。

  喜びに酔うカラスは自分の身の危うさに気付くことはありませんでしたが、死骸はガンジスの絶え間ない流れに乗り、海へ海へと流されて行きます。カラスがわれに気付いたときには象の死骸は遥か大海の中、見渡す限りの海ばかりで島すらありません。ついばむ肉も無くなった象の死骸を飛び立ったカラスは、自らの故郷の方角も分からず、哀れにも海の藻屑と消えたのです。

  このお話は、人生の絶頂にあるベナレスの大王アリンダマに対し、大王の幼馴染で修行者となったソーナカ比丘が身を慎み生きる事との大切さを説いた際に用いた寓話です。不景気とはいえ、物質的栄華絶頂期にあるといえる我々にとっても、よい教訓となる物語だと思えます。人生良いときほど思わぬ落とし穴があるものです。せっかく与えられた人生、一つしかない命です。よく気をつけて大切に日暮したいものです。

 
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