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法螺貝 住職の法話

平成二十七年十一月発行

友愛の至味

 明治の初頭、鎌倉円覚寺の管長に今北洪川老師という方がおられました。明治の初めは仏教の保護に篤かった徳川幕府の終焉により、仏教は布教の自由を奪われ、藩や武家の禄を食んでいた由緒寺院はその収入が絶たれ、その護持が難しい時代でした。
 しかし、このような苦難の時代ほど魅力的な人間が生まれるもの。洪川老師はこの混乱期にあって、円覚寺の修行道場を復興され、厳しい家風で多くの弟子達を育てた方です。
 そんな峻厳な家風を持つ洪川老師ですが、実は松茸が大好物。ある秋、上洛して用件を済ますと、鎌倉への土産にしようと店先を覗いたそうですが、生憎その年はひでりの影響で京の店先には松茸が並んでいませんでした。さらに洪川老師、実家がある大阪でも八百屋を覗いて見ますが、ここで見付けた松茸は小指ほどの小さなものが四十銭もして手が出ません。洪川老師の言葉を借りれば「遺憾だけを土産」に帰鎌したのだとか。
 この話を耳にしたのが当時の金閣寺の住職貫宗和尚。この住職は洪川老師と修行を共にした方で、早速松茸を手に入れ京都から鎌倉へと送ったそうです。しかし、現在のように交通が発達していない時代です。荷物は直接鎌倉へ送られるのでは無く、横浜まで修行僧が引き取りに行くという不便さ!何かしら荷物が届いたと聞いて横浜へと向かった修行僧は、「金閣寺納所より円覚僧堂行」という木札の付いた荷物を開けて見ると、中には憐れ腐敗した松茸が!僧は絶句して木札のみを円覚寺に持ち帰り老師に報告します。すると洪川老師、その木札を高々と持ち上げ、これを拝し弟子達に告げました。
 「孔子さんは食えどもその味を知らずと言ったそうだが、私はこの珍しき贈り物を見て思った。食わざれども深くその味わいを知るべしと。みんなその味がわかるかな?友愛の至味その甘きこと蜜の如しと。」  便利で物の溢れる現代に生きる私達。本当に大切なものを見失いがちです。友情、家族の情、何気なく過ごす毎日。すべてかげかえのない宝ものですね。日々、大切に生きましょう!(塩釜中央幼稚園『おさなご』より転載)


東園寺住職 千坂成也 合掌


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