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法螺貝 住職の法話

平成二十八年八月発行

種を受け継ぐ

 「春に種を蒔き、夏に苗を植え、秋に刈り取り、冬にそれを蓄える。秋冬にはその収穫から酒や甘酒を造って村には喜びが満ち溢れる。その収穫の時期を迎えて、その年の労働が終わったことを悲しむものがあるだろうか?
 私は三十歳で死を迎えようとしている。いまだ何一つ成し遂げず世を去るのは、これまで育てた穀物が花を咲かせず、実をつけぬことに似ているかもしれない。しかし私自身について考えれば、やはり花咲き実りを得たときなので、何も悲しむべきでは無い。
 人間の命の長短には定まりが無く、稲のそれとは異なるものであるが、それでも十歳で亡くなる者には十年の中に春夏秋冬が、二十歳で亡くなる者には二十年に四季が、三十歳で亡くなる者には三十年に四季が、五十歳、百歳には五十年、百年の中にそれぞれ四季があるのだ。十年の人生を短いとするのは蝉に数千年の樹齢を誇る霊椿を比すようなものであり、百年を長いというならば、霊椿を蝉に比するようなものである。
 私は三十歳、すでに四季が備わり、花も実も備わっている。それが粃(しいな=もみ殻の中がまったくからなものや、きわめて貧弱な実が入っているもの)なのか、立派に実った粟なのかは、私が判断するところでは無い。しかし同志諸兄の中に私のささやかな真心を知り、これを受け継いでくれる者があるなら、蒔かれた種が代々受け継がれるように、豊年の如き人生に恥じることが無いであろう。同志、これをよく考思せよ。」
 これは吉田松蔭が処刑の前日に門人達に宛てて書き上げたと言われる『留魂録』の一文を抄訳したものです。
 人の一生は長くて百年。しかし、その魂を受け継ぐものがあれば、その精神はもう少し長い生命を得られそうです。もうすぐお盆。ご先祖様をお迎えすると同時に、先人の願いや思いに心を傾けてみては如何でしょうか。

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