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法螺貝 住職の法話

平成二十九年一月発行

「自分を信じて」

 1月10日は宗祖臨済禅師のご命日。臨済宗の寺院では臨済忌という法要が営まれそのご遺徳を顕彰します。臨済禅師が遷化されたのは唐の咸通8年(867)ですので昨年は1150年遠諱の当たり年でした。
 臨済禅師の言行は『臨済録』という書物にまとめられています。世に「臨済痛快」「臨済将軍」などと言われる峻厳な臨済禅師の「一喝」を伝えるのがこの『臨済録』です。
 「仏道を学ぼうとする人たちは、まずなによりも自らを信じなくてはならない。決して自己の外に求めるな。そんなことをしても、いたずらに他人の型を学ぶだけで、邪正を見分ける力はつかない。」
「ひびの入った陶器には醍醐を貯えておけないのと同じだ。大器の人であれば、なによりも自己の尊さを信じて、他に惑わされないことが大切だ。随処に主となることができればその場その場がみな真実である。」(朝比奈宗源老師著『臨済録』タチバナ教養文庫より引用)
 この部分だけではなく臨済禅師は繰り返し自分をおいて外に仏を求めるなと訓戒されます。仏教は仏や菩薩に帰依し、経典を拠り所とするのが当たり前ですが、臨済禅師は仏菩薩や経典が指し示すものは、自分自身の内にあるのだと喝破するのです。
 確かに一事を成し遂げようとするならば、まず自分自身を信じ、鍛え上げることが肝要です。他のアドバイスや人の行いを真似ることが学ぶことではありますが、それに耽溺するならば、本当の自分の可能性を全うすることは出来ないでしょう。せっかく生まれ育まれたこの人生、自分らしく大切に活かしたいものです。

 
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