平成二十九年三月発行
「七回忌」
あの東日本大震災から六年、犠牲者の方々は今年七回忌を迎えられました。被災地に生活する我々は誰かしら存じ上げている方を震災によって喪い、また普段は津波に襲われることなど考えも及ばなかった場所の惨事に言句を失うばかりでした。
「あの地震が無ければ…。」
「あの時、高台に逃げていれば…。」
「あの場所にいなければ…。」
地震を振り返ればそんな思いが胸を去来します。震災をきっかけに物事が良い方向に変化したという人もありますが、犠牲者の命を思えば震災を綺麗事にする一切の行為は憚られるものだと気付かされます。
「あの地震が無ければ…。」
「あの時、高台に逃げていれば…。」
「あの場所にいなければ…。」
この思いを生涯保ち、後代に伝えていくのが震災を体験した者の使命なのでしょう。
犠牲者各位の御霊の安寧なることを心より祈るばかりです。