平成二十九年六月発行
「6月20日は伊達綱村公毎歳忌」
6月20日は4代藩主伊達綱村公の御命日。その前夜19日には位牌寺である東園寺で毎歳忌法要が営まれます。仙台大年寺山に墓所が安置され、菩提寺である大年寺様の他に塩竈東園寺でも法要が行われます。正式な菩提寺ではない寺で藩主の供養をするのはとても珍しいケースだと思いますが、実はこの行事は綱村公が薨去されてから連綿と続けられているものです。
藩祖伊達政宗公以来、伊達藩は治水対策や開墾の奨励に取り組み、これによって得られた米を仙台城に効率良く運ぶための水路の整備を行って来ました。これの成果が「御舟入堀(おふないりぼり)」。現在、我々が言うところの貞山運河です。しかしこの運河の開通により、港町塩竈は港に荷が下りぬようになり、これに火災が重なったこともあり、塩竈はすっかり寂れてしまったそうです。塩竈神社を崇敬していた綱村公は門前町の賑わいを取り戻し、神社の祭典を維持する為に、貞享2年、塩竈村民に対して毎年250両の金子給付、本来納めるべき年貢の免除、米以外の商品、材木、鮮魚等の塩竈入港義務化等をうたった特令を発布し、これにより塩竈は大いに発展したのでした。
綱村公が薨去されると塩竈村民は、その恩に報い菩提を弔う為に藩に願い出て、東園寺に位牌を安置し、毎年法要を行って来ました。来年は綱村公300年遠忌を迎えます。東園寺では記念事業として、綱村公の木像を本堂に安置し、その遺徳を後代に伝えるべく準備中です。また綱村公は禅の教えに傾倒し、特に黄檗派の鉄牛禅師に師事して自ら修行もされました。綱村公の漢詩を集めた『如幻三昧集』(仙台市博物館所蔵)は、その修行の成果を表現したものです。東園寺では禅文化研究所にお願いして、この訓註本を出版し、その精神の一端を詳らかに致したいと考えています。