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法螺貝 住職の法話

平成二十九年七月発行

「大切な時間、より良く使い切ろう!」

 昔、諸国を旅していた張五、張六という兄弟が偶然にも金の延べ棒2本を拾った。2人は金をそれぞれの手に別の道を歩ことになった。その後、互いに連絡をせぬまま30年…。
 弟の張六は兄の消息が気になり、方々を訪ね歩き、やっと兄にもとについた。兄のものだと聞いて訪ねた邸宅を見て張六は驚いた!幾つのも水車小屋が立ち並び、たくさんの家畜が餌を食み、池にはアヒルがいっぱいいる。張六はあまりの壮大さに入るのを躊躇していると、家の門前にはにこやかな童子がいて張六を家に招き入れる。建物に入った張六は豪華絢爛たる家具や調度品にどこに座して良いのかもわからずただウロウロするばかり…。そんな弟をよそに兄がたくさんの侍女にかしずかれてやって来る。侍女は色とりどりの衣装で花が咲いたよう!兄張五は紅絹の冠を頭に載せ、肩には錦の上着を引っ掛けて威厳たっぷりである。張六はその姿に声も出ず頭を床にこすりつけて大声で泣いた!何故なら張六はとても貧しく、我が身がみすぼらしかったから…。
張五「弟よ!来るのが遅かったではないか!そしてお前は何故そんなに落ちぶれた姿をしておるのか?」
張六「お兄さん。あなたは誰に仕えてこんな豪勢な生活をしているのですか?」
張五「人に仕えているのではない。昔拾った金のおかげで今日があるのだ。」
張六「あの僅かな金一本でこんな豪勢な生活が?私がみすぼらしい姿をしているのは、この金を守る為です。お兄さん、別れ際に無駄遣いするなとおっしゃったでしょ?ですから私は今日の日までこの金を守る為、四六時中この金を肌身離さず持ち歩き、いつ盗まれるのではないかと30年ゆっくり寝たこともありません。そしてこの金の延べ棒のことを知られてはいけないと、友達付き合いも、結婚すらしないでこの金を守って来たのです!さあ!お兄さん!久しぶりに二つの金の延べ棒をならべて見ましょう!」
張五「張六…。その金はお前と別れてすぐ売ってしまったよ…。」
張六「なんですって!金を売ったあなたがこんなにも豪勢で!金を守り続けた私がこんなに落ちぶれるなんて!あんまりだ!」
 張五は弟を諌めるように言いました。「私はそなたと別れてから揚州の街に行って、その金で塩をたくさん買った。そしてその塩を売って儲けた金で綿を仕入れた。また綿を商いした金で麻糸を買い、次には穀物、野菜、果物の商いした。やがて人を呉楚の国や蜀魏の国に遣わして各国の名産を仕入れ、大きな店舗を89店舗開設して、これだけの財を築いたのである。すべては金を手段と考えこれを使ったおかげなのだ。」
 私達も金の延べ棒の如き、可能性や法縁を実は有しているのです。それを使うか否かは自分次第!大切な人生、そして両親から産みつけて頂いた仏心を無駄無きよう使い切りたいものです。

 

※『白隠禅師法語全集 第9冊 遠羅天釜 上・中・下・續集』(禅文化研究所版 訳注芳澤勝弘先生)を参考にさせて頂きました。
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