平成二十九年八月発行
「お盆〜やっぱり亡者は帰って来る!」
科学と仏教を重ね合わせ、2500年前のインドの聖者である仏教が他の宗教と比して非常に合理性があり、科学的であることが賛嘆されたのは明治の頃からでしょうか…。戦後、日本が欧米化してゆく中で、ますますこの傾向は強くなり、禅の方でも坐禅中の脳波が熟睡時と同じ傾向があるとか、精進料理は健康に良いなどの評価を得ることもありました。
しかしどうでしょう?学者によって釈尊や達磨大師を始めとする歴代祖師の伝記に見られる神秘性が否定され、仏教の中心思想である輪廻転生が語られなくなり、仏教は盛んになるどころか大きな力を失ってしまったように感じます。
お盆には懐かしいご先祖様や最近亡くなった親兄弟がこの世に帰ってくるということは、経典の整合性は無くても長い間、日本人が信じて来た宗教的な真実で素晴らしい信仰です。家族でお墓を掃除し、仏壇の他に施餓鬼棚をしつらえて、キュウリを馬に見立てて、先祖が速やかに現世に来て頂くこと願い、ナスを牛に見立てて、あの世に見送る際には牛に乗ってゆっくりと帰ってもらいたいという思いを表す…。実に素晴らしい!このような現在では俗信や迷信と片付けられてきた素朴な信仰儀礼や風習が日本人の心を豊かにし、穏やかな国民性を培って来たのです。
お盆の時節、亡父に怒られた事や、亡くなった弟と墓地でセミ捕りをした事などが懐かしく思い出されます。そう!お盆だからみんな帰って来てくれているのです。私にはそう感じられるので仕方がありません。