平成三十一年三月発行
「あれから8年」
あの忌まわしき東日本大震災から8年の歳月が経過します。この8年、「あの震災さえ無ければ…。」と何度思ったことでしょう。
このまま日本は壊れてしまうのではと思えた長い長い揺れ。地震直後の幼稚園園児の誘導、炊き出し、避難所開設、避難者に夕食を提供してラジオから流れる被害状況を耳にして絶望…。そして翌日、檀家さんの中にも犠牲者がいたとの報告に胸を引き裂かれるような思いで読んだ枕経。
地震発生から数日間の記憶は驚く程鮮明で薄れることはありません。温かいご飯やみそ汁というありふれたものがどんなに有難かったか。避難所暮らしの方も多い中で迎えたお彼岸では着の身着のままで墓参にいらっしゃる檀家さんに会っては互いに無事を確認して握手をする姿に何度接したことか。
生きているのが当たり前でなかったあの日。普通に食べられるのが有難かったあの日の私達。これを忘れてしまったら犠牲者の方々に申し訳ないことですよ。