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法螺貝 住職の法話

令和元年九月発行

「水が石を穿つがごとく」

 「つねに流れる水の流れは柔らかであっても、時とともに、石の表面に孔(あな)をあける。精進によって得がたきものは何もない。それゆえに、重荷を捨てずに忍耐せよ。」(『完訳ブッダチャリタ』梶山雄一小林信彦立川武蔵御牧克己訳註、講談社学術文庫p290)
 これはお釈迦様の生涯を記したブッダチャリタという経典に記載されるブッダ入滅時の説法から引用したものです。
読んで頂ければお分かり頂けると思いますが、少しの努力でも長く絶えず継続せよとの教えです。そんなの誰でも分かっているよ!って感じですが、結局何か結果を得ようとすれば、日々の努力の積み重ねに勝るものは無いでしょう。頭で分かっていてもこれを私達の人生で実践することはなかなか困難ですし、そもそも継続して何かを成就しようという「何か」が見付からないのが我々凡夫というものです。
 しかし、人が羨むようなデッカいゴールは見出さずとも、手近なハードルを設定して、少しずつでも自分自身を進歩させる工夫をする事が、幸せな人生を歩む上でとても大切です。自分自身、さして大きな事を成し遂げたわけではありませんが、向上に努める人間でありたいと思います。
 それにしても「重荷を捨てずに忍耐せよ。」は重い言葉ですね。こだわりを捨てろと教える仏陀ですが、捨ててならぬものはしっかり背負えという事ですか…。

 
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