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法螺貝 住職の法話

令和元年十二月発行

「出山仏(しゅっさんぶつ)」

 12月8日は成道会。お釈迦様お悟りの日です。臨済宗など禅宗の修行道場では臘八大接心(ろうはつおおぜっしん)という坐り通しの修行を行います。臘八という語句は12月を意味する臘月と8日を組み合わせたものです。難しい文字を使っていますが、結構単純なネーミングですね!
 12月8日早朝、大接心が終わると専門道場では成道会(じょうどうえ)という法要を行います。成道会では出山仏という画題のお釈迦様の掛け軸が、本堂中央に掛けられます。
 出山仏は苦行を捨てて山を降りるお釈迦様、つまり悟る直前の様子を描いたという説と、お悟りを開いて衆生を救う為に世間に向かう様子を描いたという2つの説がありますが、出山仏に添えられる賛と呼ばれる漢詩を見ると、禅宗の僧侶達は、悟りを開いた後のお釈迦様を想定して出山仏に着賛しているケースが多いように感じます。
 そして東南アジアに見られるような、悟りの瞬間のお釈迦様(触地印と呼ばれる印相を結ぶお姿がこれに当たります。東園寺の蒔絵はこのお姿です。)を描いた江戸期以前の作品は、殆ど無いと言っても過言ではありません。
 それでは何故、日本の禅宗が出山仏を好み、触地印の釈迦像の作例が少ないかと言いますと、禅宗もまた大乗仏教であり、悟りというものが働くこと、即ちお釈迦様が迷える人々を救う為に立ち上がった事をとても重要視するからです。
 出山仏はお釈迦様の個人的な悟りという体験を、縁ある人々の為に与える決意を描いたものです。この決意こそが仏教の代表的な教えである慈悲へと昇華すると共に、お釈迦様のお悟りをさらに深化させるのです。
 考えてみると私達の日常も同じようなところがありますね。学校で学んだだけではまさに「絵に描いた餅」で、学んだ事を社会に晒し実践してこそ、学んだ事柄がようやく体得出来るものだと思います。

 
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